優しい君は今日も嘘をつく




「ゆ、幸也……!」
「………どうした?」


私が呼び止めるとようやく立ち止まって振り向いた。


どうした?じゃなくて……!


「その、誤解されるから…………手……離して……?」


さっきから周りの視線がすごいのだ。


「………ごめん。」


少しの間があき、ようやく手が離された。


だからといって、周りの視線がなくなるわけではないのだが。



そのあとは私も幸也の横に並ぶ。


「あ、えっと……どこか行きたいとこ、ある?」


何故か緊張して、途切れ途切れに話してしまう。
いつもみたいにスムーズに言葉が出てこない。


「そうだな、もう1時だし何か食べよっか。」


そんな私とは違って、幸也はいつもの調子で話し笑顔をみせる。


それだけで、私のことはなんとも思っていないのだと思い知らされ胸が痛んだ。