優しい君は今日も嘘をつく




「せっかくだし行こう。」
「………え?」


幸也はぼそっと呟き、私の腕を掴んだまま歩き出した。


幸也まで………。
なんで?


みんなの考えてることが私にはわからなかった。


もしかして、私が幸也のことまだ好きって本人にもばれたの……?


それでこれが最後の思い出づくりしろ、みたいな感じ………?


さすがに考えすぎだろうな、と思いすぐその考えを捨てた。


数歩前を歩く幸也の後ろ姿を見つめた。


だけど、ね。


これが幸也と2人でいられるのが最後で、チャンスを与えてくれたのかもと思ってしまう。


これで幸也への想いを忘れられるように、と………。