優しい君は今日も嘘をつく




ちょ、ちょっと待って……!?


「千波ちゃん!
それなら私が樹先輩と………」


「じゃあこれ、お金ね。
2人ともよろしく!」


私が行くと言いかけた時、梨花先輩に制される。


千波ちゃんは梨花先輩からお金を受け取り…………




私の方を見た。




その表情に、胸がズキッと痛くなる。


だって千波ちゃんは……



見ているこっちが苦しくなるくらい、切なげに微笑んだのだ。



そんな千波ちゃんを見て固まっていると、2人は歩き出してしまう。


「………そういうことだから、行っといで?」


梨花先輩に、ね?と言われるけど頷けるわけがない。


梨花先輩が、千波ちゃんが、樹先輩が………


何を考えてるのかわからなかったけど、ちゃんと幸也の気持ちも考えてあげないと……。


「いえ、私は大丈夫なんで……わっ…!?」


そう言いかけた時、突然腕を掴まれ引っ張られる。


自然と体が傾き、足が前に出た。


私の腕を掴んだのは間違いなく………


幸也だった。