それをわかっててもなお、別れないのだからタチが悪い。


だって好きなんだから、離したくなんてない。


それに幸也の優しさに甘えてるんだ。


幸也は絶対に自分から別れを告げたりなんてしないってわかってるから………。


「美晴ちゃん、笑顔だよ笑顔!」
「え……?」


私の元へとやってきた樹先輩が、私が持っていたボトルをひょいっと取った。


「あいつの性格が美晴ちゃんを傷つけてるってわかってんのかな。」


あいつ………


そう言って樹先輩は幸也の方を見た。


私も見ると、押せ押せの千波ちゃんと困ったように笑う幸也が視界に映る。


「………いいんです、優しいのが幸也ですから。」


私だって幸也の優しさに助けられてるのだから。