優しい君は今日も嘘をつく





樹さんは俺の言葉に驚き、目を見張っていた。


少しの間沈黙が流れたところで、練習再開の合図が鳴った。


俺はまたサポーターをつけ樹さんよりも先に立ち上がると………



「2人の不器用さには相当、呆れる。」



と、俺の隣で立ち上がった樹さんがぼそっと呟いた。


2人の不器用さ……?


思わず樹さんを見ると、樹さんは複雑な表情をしていた。




「お前は美晴ちゃんのこと、何もわかってねぇよ。」




少しきつい口調で言った後、樹さんはコートの中へと戻っていく。



美晴のこと、何もわかってない?



そんなこと言われてもわかるわけないだろ。


俺の隣にいると苦しそうな顔をするんだ、そんな美晴は樹さんを好きになって付き合った。


それが事実じゃないのか?



「………くそ、」



誰にも聞こえない声でそう言って、今だけはバスケに集中しようと思い、俺もコートの中へと戻っていった………。