優しい君は今日も嘘をつく





暑い……。


今は真夏だ。


心の中で何度も暑い、と呟きながら歩き、早く家に帰りたかった。


クーラーの効いた家で今日はのんびりしたいのだ。


なんて、考えいると……



「………え?」



何気なく反対側の歩道を見ると、私と同じ方向に歩く見慣れた姿を見つけた。


思わず声が出てしまう。



だって……!


その時ちょうど信号が青になり、私は走ってその人の元へと向かう。



「幸也!」



その相手とはもちら?幸也で、彼は私の声を聞くなり驚いた顔でこちらを見た。



いつぶりだろう。


こうやってまともに幸也と目を合わせるのは。


だけど今はそれどころじゃなくて……


「歩いて大丈夫なの!?」
幸也、昨日怪我悪化して1人じゃ歩けなかったから……!



そんな私の言葉に、幸也は目を丸くとしていた。


え……?
大丈夫なの………?