でも、なんとなくわかった。


樹先輩は私のために嘘をついてくれたのだと。


泣きそうになる私を助けようとしてくれたのだ。



「そうだよ、俺が美晴ちゃんを奪ったようなもん。


幸也も千波ちゃんと付き合ったんなら良かったね。これで完璧に終わったわけだから。」



そして樹先輩はこうやって、自分が悪い役になろうとするんだ………。




「美晴、本当なの!?」


だったら私は………


「そうだよ。
でも、私が樹先輩を選んだ。」


自分が悪い役になるべきだ。


だって実際、それで幸也と別れたんだから………。