優しい君は今日も嘘をつく




ーーそれからしばらく経ち、夏休み前日。


全学年が終業式のため、体育館に集まっていた。


……あの日以来、瞬く間に私と幸也が別れたという情報が広まった。


最初はクラスの子に色々聞かれたけど、今ではもう聞かれることもない。


だからこれで完璧に終わったのだ。


もちろん部活もいつも通り言ってるし、空気を悪くすることなんてしない。


今ではいつも通りだし、幸也はさりげなく避けるようにしていた。


もうこれでいいのだと、私は思っていたのに………



「おい、聞いたか?
幸也、新しい子と付き合い始めたらしいぜ!」


「誰だっけ?
確かバスケ部のマネージャーの平野っていう可愛い子だよな!」


「いーなぁ、でも町田さんもマネージャーだったよな?シビアじゃね?」


そんな男子生徒の会話を私は聞いてしまった。


………わかってた。
2人が付き合い始めることくらい。


でも………聞いてしまえばやっぱり苦しい。