振り向いて私を見た千波ちゃんは、堂々としていて強い眼差しだった。 「美晴ちゃんはさ、野村くんが好きなの?」 ………好きだよ。 ずっと。 幸也が好きじゃなくても、私は好きだった。 でも、今は好きと言うべきではないから。 「………好きじゃ、ないよ。」 なるべく声が震えないように喋り、俯いて千波ちゃんを見ないようにする。 じゃないと表情で嘘をついてるのがバレちゃうでしょ?