樹先輩は本当に後輩思いの人なんだな。


だから私もそんな優しい樹先輩に甘えてしまった。


2人で歩く帰り道。


ほとんどの生徒が帰っていたから、帰り道に生徒は誰1人いなかった。


「………美晴ちゃんはさ」


少し静かな空気が2人の間を流れていたけれど、そんな中樹先輩が話し始めた。


「このままで、いいの?」


さっきの2人を見たからだろう。


真剣な顔つきで私を見てきた。


………このままでいいかと聞かれたら。
良くないに決まってる。


夢だと思いたかった。
嘘だと思いたかった。


だけと全部が全部、本当のことで………





幸也は千波ちゃんが好き。


私が幸也を縛り付けてた。


幸也は優しいから、自分にも私にも…………




嘘をついて、ずっとそばにいてくれていたのだと。


こんなにショックなのは
少し期待していたからかもしれない。


幸也が同情だけで私のそばにいてくれてたわけじゃないかもって。


その期待さえも、儚く消えていく。