優しい君は今日も嘘をつく





「………じゃあさ。」


樹先輩はそう言って、私をじっと見つめてきた。


「手伝ってあげようか?
2人が別れやすいように。」


そして樹先輩から予想外のことを言われ、目を見開いてまた固まってしまう私。


「見てられないよ。


こうやって、ずっと自分で自分を傷つけるつもりなの?」


その声は優しかった。


樹先輩は本気で私を心配してくれているのだろう。


だけど……


「どうしてそこまでしてくれようとするんですか?」


その理由がわからなかったから。


「ここまで言っても、まだわからない?」


困ったような、呆れたような複雑な笑みを浮かべた。