優しい君は今日も嘘をつく




そりゃうまいもんね。


「だから今もバスケ一筋なんですね。」


そんな何かに一生懸命で、必死になれるって本当にすごいと思う。


私にはないものだ。


「………それはちょっと違うかな。」


だけど樹先輩の口から出た言葉は否定的なもので。


「………え?」


「本当にバスケだけならとっくに私立行ってるよ。


でも俺はもう嫌だったからこうやって公立の高校に来たんだよ。」


………それは、初めて聞くことだった。


樹先輩も色々考えてるんだって、色々あったんだって思った。