優しい君は今日も嘘をつく




「こんなの授業で教えてもらってませんよ!」


「そりゃあね、これは中学までに身につけておかないといけないことだから。」


う……!


そんなこと言われるとさすがにへこんでしまう。


「ごめん、ごめん。
言い過ぎたかな。」


「いえ、私がバカなのが悪いので……」
「やべぇ、めちゃくちゃ根に持つじゃん。」


怒ってない。
傷ついてるだけだ。


けどあえて拗ねてるフリをすると、何回も謝られて思わず笑ってしまった。


「本当に気にしてませんよ。」
と答えると、樹先輩は急に黙り出した。


どうしたんだろ……


「そうやってちゃんと笑ってるの、初めて見たかも。


笑ってる方が俺は好きだな。」


真剣な瞳が私を捉え、冗談で言ってるのではないとわかる。