「あっつ!!」
声に出さないとやってられないほどの暑さの中
私は学校に向かっていた。
「しっかし美術部もスパルタになったもんよね〜。
あっずーが顧問なってからだよ。」
横では友達の真白が愚痴をこぼす。
あっずーっていうのは今年から美術部の顧問になった吾妻先生のことだ。
ルックスよし。気さくで面白くて授業もわかりやすく運動神経良し。
人気先生の5コンボを獲得した若い先生だ。
「あっずー目当てで入った後輩多かったからね〜。
去年までみたいにゆっくりできないよな〜。
あっずーなら去年からいたのにね!!」
あっずーは私たち美術部の副顧問だった。
ほとんど名前だけの顧問金田先生よりも部活に来てくれてたけれど
副顧問ってことで美術部なのはあまり知られてなかった。
でも金田先生が異動になって顧問になった途端
部員は増えるわみんな活動しないわで大変なのだ。
とやかく言ってる私たちも美術室では真面目にやっていない。
あっずーと話すか黒板に落書きするかの二択でいつもゆっくりと過ごしていた。
でも最近はあっずーの周りに後輩ばかりで
話すことすらできない。
私たちには少し面白くないのだ。