そのまま一度も振り返ることのないまま、わたしはその場を後にした。 冬の真夜中、赤い炎だけが辺りを照らしていた。 「…………どうか神様。家族みんなが苦しまずに死んでくれてますように……。」 わたしの小さな背は、闇に消えた。 ここから始まるのはわたし―――― エマ・ノクターンのお話。