ーーーキーンコーンカーンコーン


「皆さん席についてください。


今日、山田先生は風邪のため休みを

とっておられるので

この時間は補習とします」


『やったーー!!』



クラスの皆が歓喜の声を上げる。



「先生は監視をしなければいけないのですが、

他クラスにも行かなければならないので

皆さんはプリントをやっていてください」


「プリントなんてするかよ」


「それな、補習=休み時間だからな」



周りの男子がコソコソ話してる。



「それと時間の最後にプリントを

集めにくるので最後までやっておくよ

うに」



と言い残し代理の先生は教室を出ていった。


めんどくさいな。寝たかったのに。


私の席は詩織と離れているから

話せる友達が誰もいない。


このクラスは女子の方が多いのに

なぜか私の席は男子に囲まれている。


その周りの男子は仲良さそうに喋ってる。



とにかく、プリントを終わらせよう…


ってこれ裏に答えあるじゃん!

これだったら10分程度で終わるから

そっから寝よう!




終わったー。右腕がしんどすぎる。

よく、私は頑張った。

じゃあ寝よう!…


あ、そういえば秋さんって何時頃帰るんだろう。


と考えながら外を眺める。


秋さんって結構仕事バリバリ

やってそうだから帰るの遅そうだな。



「高田さん!」



前の席の男の子が話しかけてきた。

確か、椎名くんだっけ。



「なに?」


「なんでカーテンなんて観てるの」



え!外見てたつもりなんだけど

ん?カーテン閉まってる!!

秋さんの事考えてて上の空だったなん

て言えないし



「えっと、カーテンの繊維を見てたの!」


「繊維?繊維なんか見てたの」



周りの男子と笑いながら言う椎名くん。



「だって細かくて素敵だなーと思って」



私、何言ってんだろ。

絶対変なやつって思われるじゃん!



「高田さんって変わってるね」


「あ、ありがとう?」



苦笑いで返す。



椎名くんははっきりいって苦手だ。


古典の授業の時ノートを忘れて

ルーズリーフに板書していた時

ふとイカの絵を描きたいなと思って

お絵描きしたところに椎名くんに見られ笑い者に。


他にも授業中折り紙をしているところを見られたり

酷い時は腕をついて寝ていたら

腕にチョップされて

顔面を机に強打仕掛けた事もあった。


極めつけは、藤本さんという一軍女子に



「高田さんって絶対椎名くんの事好きだよね。

高田さんって男経験なさそうだから

絶対椎名くんに話しかけてもらって恋してるよね。

椎名くん、高田さんに告白したら?

絶対OKもらえるよ」



と椎名くん本人に話していたそうだ。

この話は詩織に聞いて

講座ごとに別れる英語の授業中に

話していたらしい。



藤本さんと椎名くんに言ってやりたい!

私はもう結婚してるんだーー!って


椎名くんは賢くて運動神経もよくて

お金持ちでイケメンでこの学校では

モテる部類に入る人間かもしれないけど、

私は秋さんが好き。


それなのに私が椎名くんの事が好き?

本当に良い迷惑よ!