ーーーシャァァァァァーーー



相変わらず広いバスルームだな。


今日は秋さんとの記念すべき初夜。


緊張する…

ちゃんと体の隅々まで洗っとかなくちゃ。


初めては痛いって言うけど大丈夫かな。

っていうか処女ってバレたら幻滅されるかも!!

どうしよ…正直に打ち明けるべきか…

でもここは余裕な大人ぶりを

秋さんに見せつけるところ!


よし!ムダ毛OK!臭いもOK!

ブラもOK…?

ブラっているかな?

外すべきか…どっちだ!


いや!ここは大人のエロさでブラなしで行こう!



部屋に戻ると



「お風呂大丈夫だったー?」



ベッドに座った秋さんがいた。

秋さんも既にパジャマを来ていて

髪の毛もいつもとは違う無造作に

セットされているからかっこよく見える。



「はっはい!気持ちよかったです!」



この空気、緊張するな。



「よし!こっちにおいで」



秋さんは自分の膝をポンポンと叩いている。

これは誘ってるのかな…

いよいよ始まるのか。



「は、はい」



私は秋さんの膝ではなく横に座る。



「違う違う。こっち」



と言い軽々しく私を抱きかかえ膝に乗せる。


この体制から始まるの!!??


と思っていたら秋さんは

ドライヤーを出して私の髪を乾かしてくれた。

さすがにまだだよね。

髪が濡れてたらできないし…



「あ、ありがとうございます」


「全然大したことじゃないよ。
っていうか本当にさらさらな髪だね」



秋さんは私の髪を丁寧に乾かしてくれる。

秋さんの手がエロい…

って何考えてんだ私!



「よし!それじゃ寝ようか」


「はい」



キングサイズのベッドで寝転がり明かりを消す。

今度こそ始まるのか。



ん?

いくら待っても秋さんは手を出してこない。

それどころか秋さんは私に背を向けて寝ている。


そっか。

やっぱり秋さんは私の事好きじゃなかったんだ。

処女だからかな、それともまだ高校生だからかな。


あれ?なんで涙なんて出てくるの。



「うぅっ」


「愛?どうした?」


「ごめんなさい」


「なんで謝るんだよ」


「だって初夜なのにエッチな事

しないのは私の事好きじゃないからでしょ。


元はと言えば私達、政略結婚みたいな

感じだし秋さんも口では好きって

言っててもやっぱり私の事なんか

好きじゃないんでしょ!」


「愛、それは違う。俺は愛を心の底から愛してる」


「だったらなんで」


「俺は愛を大事にしたい。

ちゃんと愛に心の整理ができてから

エッチな事をしたい」


「秋さん…」


「だからそれまで待ってくれる?」


「はい…分かりました」



秋さんは私の頭を撫でてくれる。

私はなんて幸せものなんだろ。



「おやすみ、愛」


「はい、おやすみなさい、秋さん」



私達は手を握りあい向かい合って

眠り落ちていった。