南山家に着いた。


やっぱり財閥なだけあってデカい!

庭に噴水はあるし、プールもある。

すごい豪邸だな。



「優宇、愛ちゃんの部屋へ連れてってやれ」


「承知しました」


「待って、俺が連れて行く」


「え!秋様が、承知しました」


「愛、こっち」


「はい!」



私に部屋なんかあるのか。


おじさん達と暮らしてた時は

店の椅子を並べて寝てたのに。



「ここが愛の部屋」



そこには、キングサイズのベッドに大型のテレビ。

立派すぎるクローゼット。

部屋の窓からは庭の噴水が

見渡せるようになっていた。


これじゃまるでリビングだ。



「あの、秋さん」


「ん」


「さすがにこの部屋デカすぎません?」


「別に普通じゃない?」


「普通じゃないですよ!

ベッドだってキングサイズじゃないですか!

シングルでいいですよ!

っていうか布団でいいです!」


「シングルで二人はさすがに狭いよ。

まあ、布団でもいいんだけどさ、

俺あんまり慣れてないから腰痛めるかもだし」


「えっ、シングルで二人?

あの、すみません。

私ってもしかして秋さんと二人で寝るんですか?」



まさか二人で寝るなんてないよね。

一応私、未成年なんだし。



「もちろん二人で寝るつもりだよ。

だって夫婦だし当たり前だろ。


この部屋は俺と愛の部屋だしな。

いわゆる



愛の巣



ってやつ?」



あ、あ、愛の巣!?

じゃあこの部屋で

秋さんとあんな事やこんな事するって事...?

そ、そんな!!!



「あ、顔赤くなった」


「すっすいません!」


「なんで謝るの?」


「なんとなく...

っていうか今更なんですけど

なんで私なんかと結婚しようと思った
んですか?

秋さんかっこいいですし、

私より絶対素敵な人がいると思うんですけど。

それに出会って

まだ1時間ぐらいしか経ってませんよ!」



確かにそうだ。

出会ってまだ1時間の子と結婚なんかする?

どう考えてもおかしい!



「愛に時間なんて関係ないじゃん」



なんか名言でたーー!!



「そうかも知れないですけどまだ1時間ですよ!」


「でも1時間で俺の心は愛に奪われたよ。


愛は優しいし可愛いし

逆にモテない方がおかしいよ」


「私が可愛い?優しい?全然違いますよ」


「ふーん、本当に自覚してないんだ」



と言い徐々に顔を近づけてくる秋さん。


えっ!ちょ、どうしよう!

考えてるうちにも秋さんの唇は迫ってくる。


キスされるーーー

と思った時、扉が開いた。



「これは失礼」



中山さんが来たおかげで我にかえる。



「ちっ、良いとこだったのに

優宇ったら空気読めないんだから」


「それはすみません。

お食事の用意が出来ましたので伝えに
来ました」



中山さんナイス!



「あっ今中山さんナイスって思ったでしょ」


「っ!」


「愛は単純だな〜。

でも安心して

愛の気持ちが整うまでそういう事はしないから。

じゃあ夕飯食べよう!」



秋さんはなんでもお見通しなんだな。

さすがというかなんというか。