「波奈ー!」
と友達の陽美に呼ばれた私は、振り返る。
「なにー?」
私は、一ノ瀬 波奈。
どこにでも居る、女子中学生。
ごくごく普通の一般人。
だから、可愛くもないし、なにか魅力がある訳でもない。
「さっきの授業さ…」
陽美と廊下を歩きながら、自分達の教室を目指す。
この子は、友達の波川 陽美。
この子も、私と似ていて、あまりモテるほうじゃない。
なんて言ったら、失礼だけど。
フフッと笑いながら、窓を見る。
「波奈ー、聞いてるー?」
と言われた私は、はっと我に返る。
「あ、ごめん。全然聞いてなかった」
私は、苦笑いで返した。
ヤバイなー。陽美、怒ってないかなー。
そう、陽美は怒ると、怖いのだ。
しかし、
「まぁ、良いけどね。今度からは、気を付けてよねー」
と陽美は、意外に怒っていなかった。
陽美って、こんな子だっけ。
まぁ、陽美には。
「おーい。陽美」
そう、彼氏が居るから。
それで、彼氏のために変わったのかな。
恋する乙女ならではの行動だなぁ。
つい、愛しくなってしまう。