副社長の一目惚れフィアンセ

——だけど翌日の午後、まさかの事態が訪れる。


仕事の忙しさも落ち着いて、朝に比べたらずいぶん静かになってきた午後3時。

マウスの音をカチカチ鳴らしながら、個人情報たっぷりの社内システムをぼんやり眺める。

脳の回転がずいぶんと鈍っている…もはや無心に近い状態ですっかり油断している時だった。


プルルルルルルルルルルルルルル


新幹線の発車時に流れるようなけたたましい音が突然鳴り響き、一気に目が覚めた。

さっきまで平和だった脳内が慌てだし、他の社員たちも皆、あっちを向いたりこっちを向いたりと困惑している。

災害時にしか使われることのないと言われている社内アナウンスだ。

火事かなにか…?と思っていたら、プツッと音がしてアナウンスが流れた。


『20代の女性社員全員、第一会議室へ集合してください。
副社長がお呼びです。繰り返します。20代の…』


「なんだこのアナウンス」

20代でもなければ女性でもない隣の席の宇野さんは薄笑いを浮かべる。

だけど、私にとっては火事や地震並みの緊急事態。

確かにアナウンスのお姉さんは『副社長が呼んでいる』と言った。

どう考えても副社長が探しているのは私で、謝らなかった無礼に対して何か罰を与えようとしているに違いない。

社内アナウンスを使ってまでということは、かなりご立腹?