広い部屋の壁は白。天井のシャンデリアが、キラキラと光を放っていて、軽食が置かれた丸テーブルを照らす。

すでにワインやシャンパンを楽しんでいるお客様方の注目がナオと私に集まり、歓声があがった。

ナオに倣ってお辞儀をし、中へと足を踏み入れた。

私はナオの指示通り、ただナオの腕に手を添えて、ニコニコしながらナオについていく。

多少ひきつった笑顔になっているだろうけど、こればかりは少しずつ慣れていくしかない。

「おめでとう」と声をかけてくれる周りの人たちに少し挨拶をしたあと、司会の女性の声が会場内に響き渡った。

「さあ、それでは主役のお2人にステージに上がっていただきましょう」

ステージ?

この広い会場の一番奥にある、ライトがやたらと照らされているステージ?

そんな話、私は聞いていない。

いや、でも主役なんだから当然と言えば当然?

ナオは当然のように歩き出し、私はそれにくっついてやっとなんとか歩いている状態だ。