副社長の一目惚れフィアンセ

「お待たせしました。ハンバーグセットになります」

片手でお盆を持ち、さらに入りきらないプレートを器用に腕に乗せて持ってきた店員さんは、手慣れたようにテーブルに並べていった。

届いたハンバーグはまだジューっと音がして、立ちのぼる湯気から香ばしい匂いがする。

「俺、ここのハンバーグ好きなんだ」

早速ナイフとフォークを手に取った副社長は、一欠片にふーっと息をかけて冷まし、口いっぱいに詰め込んでまるで子どもみたいに目を細めた。

私もそれに倣ってハンバーグにナイフを通したら、じわっと肉汁が広がった。

ハンバーグの味なんてどこもたいして変わらないと思っていたけど、すごくいいお肉を使っているんだろうか。

「今まで食べた中で一番おいしい…」

「だろ?」

思わず漏れた言葉に、副社長は得意げに笑った。