副社長の一目惚れフィアンセ

彼は続ける。

「政略結婚は御免だから、会社に入って10年後…33歳の誕生日までに好きな相手と婚約が成り立たなかったら、社長の持ってくる縁談を受ける。
その代わり、俺が先に相手を見つけた場合、その家柄に関してはとやかく言わない。
そういう条件をつけて会社に入った。
だけど、なかなか運命を感じる女性には出会えなかった」

今日は5月12日だ。

副社長はさっき、誕生日は15日だと言っていた。

あと3日。聞き間違いなんじゃないかと思ったその言葉はどうやら本当らしい。

顔立ちも整っていて、笑顔も話し方も穏やかで、財力もあって。

こんな素敵な人なら、寄ってくる女性はたくさんいるだろうに。

なのに彼は10年も…期限ギリギリまで、3日前まで諦めずに結婚相手を探していたのだ。

それが私だなんて…

どうして私に一目惚れをしたのかはわからない。

ぶつかったあの時、目が合ったのなんてほんの数秒だったのに。


——だけど、会議室にあれだけの人数がいる中で、彼は私のことをすぐに見分けた。

信用しないわけにはいかない。