副社長の一目惚れフィアンセ

郊外にある平屋の建物は、太い丸太で支えられ、斜めに掲げられたアンティークな看板が目を引く。

洒落ているけど決して高級店には見えないし、窓から見えるお客さんもカジュアルな服装の一般庶民のようだ。

大袈裟に軋む木のドアを副社長が開けたら、軽快なアコースティックギターの音楽が流れていた。

「いらっしゃいませ」

出てきた店員さんは私たちを一番奥のテーブルに案内した。

メニュー表を見ると、ステーキやハンバーグがメインのよう。

何を頼めばいいのかわからず、副社長と同じものをオーダーしてもらった。

「あんまり緊張しないでくれ。ちょっとリラックスして話をしよう」

「は、はいっ」

緊張するなと言われたばかりなのにさっそくどもってしまった。

庶民的な店とは言え、副社長と向かい合ってふたりきり。

この状況で緊張しないなんて、私はそんな強靭なハートの持ち主じゃない。