副社長の一目惚れフィアンセ

翌日会社に着き、パソコンのスイッチを入れてすぐのことだった。

パソコン越しに、夏川さんが早足で私に近づいてくるのが見えた。

昨日の穏やかな印象とは違ってずいぶん切迫している様子で、ほんの数秒のことながら嫌な予感が走った。

私の耳に顔を寄せ、夏川さんは声を潜める。

「明里さん。副社長が過労で倒れました」

「えっ?」

「今病院にいます。お願いします。副社長の元へ行ってあげてください」

どうしよう。

私が行ったところで何も…だってナオが必要としてるのは…

首を横にぶんぶん振って迷いを振り切った。

ナオがどう思っているかじゃない。

私自身がナオに会いたいと思っているんだ。

あれだけ傷ついても、まだ私はナオのことが好きなんだ。

「…行きます。どこの病院ですか?」

会社専属の運転手さんに病院の前まで送ってもらった私は、すぐに中に入ってエレベーター乗り場を探した。