副社長の一目惚れフィアンセ

その後お母さんがお茶を淹れてくれて、茶菓子をつまみながらまた詩織の話を始める。

「…ねえお母さん」

「ん?何?」

お母さんは話を遮られたことに少し不満げに眉を寄せる。

「私の顔は、お姉ちゃんに似てる…?」

お母さんはきょとんとしたあと、ふふっと笑った。

「まあ姉妹だからねえ。大きくなって似てきたかもしれないわね」

その後またすぐ「そういえば詩織はね」と話が続く。

お母さんの話は耳を素通りして、いつも苦痛なはずの時間はあっという間に過ぎた。


「もう行くの?泊まっていけばいいのに」

眉をひそめるお母さんは子どものように口を尖らせる。

「直斗さんのご実家にも行かなきゃいけないから」

そういうとお母さんはしぶしぶ納得した。

実家をあとにし、私はひとり帰りの電車に揺られた。