副社長の一目惚れフィアンセ

「…この男の子は、お姉ちゃんの恋人…?」

「そうよ。長い間付き合ってたみたいだけど…今どこで何をしてるのかしらねえ」

自分で聞いたくせに、お母さんの返事になんて上の空だ。


そこから先は同じ男の子がちょくちょく写っていた。

不意打ちで撮られた真顔。

空を見上げる横顔。

ナオじゃないと確信できる何かを探しているのに、残酷なことに、見れば見るほどナオなのだ。

もちろん、今よりもずいぶん幼い。

ページをめくるたび、お母さんが嬉しそうに何か言いながら指をさしている。

だけど、そんなものは頭に入ってこない。


『忘れられない人』

お姉ちゃんが生きていたら今年33歳。ナオと同い年だ。

ナオだって、当時お母さんと2人で暮らしていた頃は、町田近辺にいたのかもしれない。

どうして今になってこんなふうに繋がってしまうんだろう。