お姉ちゃんの遺品は、引っ越しの時にいくつかの大きなダンボールに詰めたのを覚えている。
だけど、それを全て広げるほどアパートは広くはなかったし、当時離婚でショックを受けていたお母さんは片づけどころじゃなかった。
だから荷解きも片づけも私がやったようなものだ。
その時に私は、お母さんの傷をえぐるようなことをしたくなくて、遺品の入ったダンボールは押入れの奥にしまい、長い間そのままになっていたのだ。
何を思ったのか、お母さんはダンボールのひとつを開き、今になって写真が出てきたという。
「出てきたっていってもこれだけなんだけどね。あとは重くて引っ張り出せなかったわ」
大切そうにタンスの引き出しから出してきたのは、薄いアルバム帳だ。
最初に出てきたのは日付と『ハウステンボス』と書いた看板を前にして写っている集合写真。
修学旅行かな?
「ほら、これが詩織よ!」
隣でお母さんが声を弾ませ、ある女の子を指さす。
お姉ちゃん、こんな顔だったっけ。写っている顔自体も小さいし、真顔だから別人のように見える。
お母さんに教えてもらわなかったらわからなかっただろう。
だけど、それを全て広げるほどアパートは広くはなかったし、当時離婚でショックを受けていたお母さんは片づけどころじゃなかった。
だから荷解きも片づけも私がやったようなものだ。
その時に私は、お母さんの傷をえぐるようなことをしたくなくて、遺品の入ったダンボールは押入れの奥にしまい、長い間そのままになっていたのだ。
何を思ったのか、お母さんはダンボールのひとつを開き、今になって写真が出てきたという。
「出てきたっていってもこれだけなんだけどね。あとは重くて引っ張り出せなかったわ」
大切そうにタンスの引き出しから出してきたのは、薄いアルバム帳だ。
最初に出てきたのは日付と『ハウステンボス』と書いた看板を前にして写っている集合写真。
修学旅行かな?
「ほら、これが詩織よ!」
隣でお母さんが声を弾ませ、ある女の子を指さす。
お姉ちゃん、こんな顔だったっけ。写っている顔自体も小さいし、真顔だから別人のように見える。
お母さんに教えてもらわなかったらわからなかっただろう。