怖がっていた、その時は思ったよりも早く来た。
俺は賢太郎と太陽と浩平と約束した花火大会に行こうと、初めて一人で電車に乗ったんだ。
初めての体験にドキドキしながら、地元の駅から三駅ほど行った駅で、路線を乗りかえるために電車を降りて、ホームの階段を登りきった、その時だった。
急に考えられないほどの痛みが、頭に走った。
足がふらつく。気付いた時にはもう、その場に派手に倒れていた。
打ち付けた左半身がジンジンと痛む、気持ちが悪い。吐きそう、とそう思った時はもう、息の仕方がよく分からなくなっていた。
人だかりが出来てる、ということをどこかで冷静に感じながらも、必死に肩を叩いて呼びかけてくれる見知らぬ女性の声に、どうしてか答えられない。
ひどい喧騒の中なのに、俺は不釣り合いな眠気に襲われて、抗う間もなく意識を手放した。



