「…………でも、なにか力になってあげられたらな……とは思ってるよ」
「へえ、その人、なんか悩み事でもあんの?」
唐揚げを頬張りながら、太陽がそう尋ねる。
「んー……まぁそんなところ。どうにかして、笑顔にさせてやりたいんだ。すごく大切な人なんだ」
「ぶふっ」
そう告げると、太陽は突然食べていたら唐揚げを吹き出す。
何故か浩平は赤い顔をしていて、賢太郎は呆れた顔をしている。
「なんだよ汚いな」
「だ、だってお前……よく恥ずかしげもなくそうゆうセリフが言えるなぁ!」
「え……可笑しいのか?」
ただ思ったことを、そのまま口にしただけなのに。
「…ごめん、俺…。学校にこうゆう友達出来たことないから……距離感とか、よく分かんなくて…」
「ばーか、謝るとこじゃねーし」
つい俯いてしまった俺に、賢太郎が呆れたようにため息をついて、俺の額を軽く小突く。
「まっすぐはお前の取り柄じゃん。せっかく失くさずにいるんだから、大事にしてけよ」
そう言って賢太郎は微笑んだ。
──まっすぐ……か。
俺は普通の人のように学校に行ったり友達と遊んだり、そうゆうことをしてこなかったから。
外の世界に触れなかった分、失わずに済んだものもあるのだと、賢太郎は言ってくれたのだろうか。



