酷い息苦しさに目が覚めた。胸が、肺が痛い。ひたすらに。
どうやら横になってるのが良くないらしかった。肺が圧迫されてるのだ。背中の下にクッションでも挟めば楽になるだろうかと、数メートル先にそれを取りに行こうとした。
したのだが。
ずっしりと重い。身体のそこかしこが鉛のように重くて、寝返りすら億劫に思えた。
どうにかして楽に息ができる体勢になりたくて、精一杯の力で踏ん張って腕の力で半身を起こしたが、何時間ぶりに身体を起こしただろう。ぐらりと平衡感覚を失い、そのまま硬いフローリングに転げて投げ出された。
その衝撃が良くなかったのか、もしくは最初からそうゆう風に決まっていたのかは分からないが、
俺は口から真っ赤な血を吹き出した。
「…………っ、……は、……」
赤くて、赤い。どこから流れてきのか分からない血が、仰向けになった口から溢れてきて。息ができない。俺はあろうことか自分の血で溺れそうになったんだ。
咄嗟の判断で顔だけ横に倒すと、自分の吐き出した血が水たまりになっていた。
窒息は免れたはずなのに、どうにも息が苦しい。
何かあれば連絡するようにと握らされたスマホは、ベッドから落ちた衝撃でどこかへ飛んでいってしまった。探せば案外近くにあるのかもしれないが、それは起き上がれたらの話だ。
為す術を無くし、呆然と真っ赤な水溜まりを眺めた。



