分かってた。
先輩が私に揺れることはないって。
でも、そんな言葉を口にしたってことは
今日はやっぱり何かあったんだろう。
「ありがとう、ゆうちゃん。
ちょっと元気になった」
でもそうやって言う先輩は少しだけ笑っていてほっとした。
良かった……。
先輩は抱きしめる手を解放する。
それを名残惜しく思いながらも、私は言った。
「じゃあまた明日、学校で」
そう言って、帰ろうとした時。
春先輩は再び、私の手をとった。
ーーパシ。
「ちょっと、何ひとりで帰ろうとしてるの?」
慌てたように言う先輩。
「えっ、だって……先輩も用事あるだろうし」
「はあ……」
私の言葉に先輩は深いため息をついた。
「ゆうちゃん、さっきの話、全然聞いてないね。
ここ一人で歩いたら危ないって言ったでしょ?」


