優しい顔。

その顔も私に向けたものじゃないんだと思うと心が苦しくなる。


私のことも、少しでいいから見て欲しい。


どうしてもそう思ってしまう。


「先輩は、」


私がそう続けた瞬間、

先輩がさえぎるように言う。


「それにしてもゆうちゃんさ」

「はい?」

「俺が負けると思ってたでしょ、アイツらふたりに」


「え~っと、そんなことは……」

「目、泳いでる」


ズバッと先輩に言われてしまい

私は嘘を突きとおすことが出来なかった。


「すみません」


白状して謝ると、先輩は口角を上げながら言う。


「こう見えてもさ、ちゃんと鍛えてるんだよ。ほら」


そう言って私に二の腕の筋肉を見せて来た。


腕は細いけれど、

よく見るとしっかり筋肉がついている。


「本当だ……」