「ダメでしょ」

「えっ?」


「こんな時間にこんな道通ったら。

ここ暗くなると危ない奴いっぱいいるんだから」


そうだったんだ……。

知らなかった。


「すみません……」

「ううん。ゆうちゃんのこと、助けられて良かったよ」


先輩はふわりと笑う。

私服姿の先輩を見るのは初めてだ。


「先輩は今日、風邪とか引いたわけじゃないですよね?」

「うん、あぁ、休んだこと?

なんか学校行くのダルかったからさ……サボっちゃった」


ニコっと笑顔を浮かべて、うつむく先輩。


その笑顔に違和感を感じた。


先輩は何か嘘をついてるかもしれない。


何かあったのかな。


聞きたい……けど聞けない。


「寂しいです、学校に先輩がいないと。

会えないから……」


私は小さな声で言った。


「なんでそんな可愛いこと言うかな」