「先輩のためじゃないよ……」
今までずっと、何をするにも先輩のことを考えていた。
だけどもうそんな自分じゃない。
それを伝えたくて、全部口に出した。
「…………。」
それでも。
彼には伝わらなかった。
清水くんはゆっくりと歩き出す。
私の言葉に一度も振り返ることなく、
彼はすぐそばの角を曲がった。
清水くんがいなくなっても、
私はいつまでもそこにいた。
じわじわとぼやける視界の中。
やっぱりこの色は私には似合わないと思ったーー。
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