いつまでも甘えていてはいけない。
『そんなに勉強が出来るのに、
サボってばっかりじゃもったいないと思います』
彼女が俺を引き上げようとしてくれた。
彼女が上を向かせてくれた。
そしたら今度は
俺が、自力で立ち上がる番だ。
吹き抜ける風が強くて
負けてしまいそうになる。
それでも俺は彼女のことを考えて前を向く決意をした。
それから俺は
この日を最後に、屋上に行くのをやめた。
俺にとって屋上はずっと逃げ場であった。
現実を見ているのが辛いから
屋上に逃げて、ずっと過去のことを考える。
優が死んだあの時から
優がいたらって、
ありもしないことを考えて過ごして来た。
いつまでも下を向いていた俺に
彼女が声をかけてくれたんだ。
彼女がいつも側にいてくれたことに、
甘えていた。
だけどもう、そんな彼女はいないんだ。