私は首を振った。


先輩が悪いんじゃない。


その弱さにつけ込んだ私も悪いんだ。


そして笑顔で伝える。


「楽しかったです、先輩と一緒にいられて」


先輩が授業に出てくれたこと。


学校をサボることが少なくなったこと。


そして時折見せる笑顔。


私はそれがすごく嬉しくて大切な時間だった。


「俺も。

ゆうちゃんと話してる時間は本当に楽しかった」


先輩は少しだけ、笑った。


この屋上で出会った頃には

絶対に見られなかったであろう笑顔。


それが見れただけで十分だ。



「先輩……最後にひとつだけ

言いたいことがあるんです」



さよならをする前に

先輩に伝えたかったことがある。


「何?」


それは前を向いて欲しいとか、

授業に出て欲しいとか、


そういうことじゃなくて。


ずっと先輩についていた嘘のこと。