先輩は離れていった私を追ったりはしなかった。
入学式の日。
私が突然やって来ても拒むことは無かったけど、
私を追いかけるようなこともしてこなかった。
いてもいいし、去っていくならいいよ、
ってそうやって言っているようだった。
きっと、ずっとそんな感じだったのかな。
私にはたくさんの心の変化がある中で、
先輩は私がここに来ようが来なかろうが、
何も変わらなかったのかもしれない。
「今日は先輩に言いたいことがあって来ました」
私が何を言うのか、
きっと先輩は分かっている。
「うん」
私と先輩がしっかりと向き合った。
私は目を逸らさずに真っ直ぐに彼を見つめた。
「先輩のことが好きです」
もう一度、今度はしっかりと伝えた。
自分の恋を終わりにするために。


