向き合わなくてはいけない。
今まで逃げ続けて来たもの、全てから。
「春……先輩」
私は教室を出ると、
覚悟を胸に屋上に繋がる階段へと足を運んだ。
いつも楽しみでドキドキしながら登っていた階段。
今は屋上にたどり着かなきゃいいのにって思ってる。
春先輩。
私は目をつぶり、
心の中で名前を呼んでからドアを開けた。
風に吹かれるように、
屋上から景色を見つめる先輩の後ろ姿は
今だって変わらずドキドキする。
「ゆうちゃん」
そうやって何度も名前を呼んでくれたね。
その顔が笑顔だったら。
私を見ていたら……。
そうやって何度も考えた。
でもそれも今日でおしまいだ。
「もう来ないかと思った……」
先輩は寂し気に言う。
それでも
私を待っていたわけではないんだとつくづく思う。


