「俺が先輩の立場だったら、お前の本当のこと知りたいと思うよ。

偽りを死ぬまで信じ続ければ、気づかないでいられるかもしれない。

でも、それが本当に幸せか?」


偽りを本当だと信じること。


あの時の時間がもし偽りだったら……。


私だったら嫌だ。


「ずっとその先輩のこと、想ってたんだろ。

だったらさ……

ちゃんと話して向き合う方がいいんじゃないか?

自分の恋にワガママになって、ありのままを伝えて来いよ」


ーードキン。


彼の表情を見て、

私は心がしめつけられるような気持ちになった。


清水くんの表情は変わらない。


いつものクールな表情。


だけど、私には分かる。

彼の手が震えていたこと。


どうしていつも、

彼にこんな言葉を言わせてしまうんだろう。


私って本当に駄目なやつだ。