「だからね。

あの頃の学校生活が無駄だったなんて思わない」


どうだかな。

それは吉岡がそう思うだけだ。


くだらねぇ。


けど、本当は一人外れて遊んでいることの方が

くだらないことをしていると気づいてる。


「それに……中学の頃の友達も今でもちゃんと続いているわ。

先生の大事な人もね、中学の頃出会った人なの」


大事な人。


幸せそうにそんなことを話す吉岡の右手の薬指には


きらりと光る指輪がある。


人に興味のない俺にそんな人が出来るとは思えない。


楽しい学校生活を送れるとも思えない。


無駄になるなら。


つまらなかったで終わるなら何も始めない方がマシだった。