「熱いから気をつけろよ」
「はい」
ふぅふぅと湯気が立ち昇るお粥を冷まして口に入れた。
「っつ!!」
「大丈夫か!? だから熱いって言ったろ」
「すみません」
「あ、いや、すまん。俺がしてやればいいんだな」
貸せ、と私からスプーンを取り上げると、課長がふぅ〜とお粥を冷ましてくれた。
「ほら、口開けろ」
げっ!
「いえいえいいです! 自分で出来ますから」
「いいから、遠慮するな」
遠慮してるわけじゃないけど、これは…すごく、恥ずかしい!
スプーンを差し出す整った課長の顔が近すぎて緊張するのに!
「ほらっ」
「〜〜〜っ」
えいっ!と思い切って口に入れると、ふんわり塩気の効いた玉子粥が空腹の体に温かく染み渡った。
「美味しいです!」
「だろ」
課長は涼やかな目を細めて優しく笑うと、またひとくち食べさせてくれた。
は、恥ずかしい…。
体が徐々にホカホカしてくると気持ちも心なしか落ち着いてくる。
けれど、この、子供のように食べさせてもらっている行為にいたたまれなさを感じてしまう。
何度もスプーンを口に運んでくれる度に、課長の妖艶な眼差しと、色っぽい唇に戸惑いを感じてしまうからだ。
それに、こんなに真剣に自分の食べてる姿を見られるのは、裸を見られるのと同じくらい恥ずかしい!!
「あの…もう自分で食べれます」
「ダメだ。俺がやる」
ダ、ダメだ?
なんで?
手は普通に使えるんだから一人でも食べられるのに。
「ほら、最後のひとくち」
言われて勢いよくパクっと口に頬張った。



