【短編】本日、総支配人に所有されました。

「お風呂頂きました…」


「遅い。待っている間に一仕事終わったからな…!まぁ、早く帰る為に持って帰って来た仕事を後々済ませようと思っていたから、いつやろうと同じだが…。腹が減ったから先に食べた」


食べながらノートパソコンで持ち込みの仕事をしていたらしく、テーブル上の料理は残り半分位になっていた。


気付けば四十分はお風呂に入っていて、支配人は待ちくたびれたみたい。


その後の流れを恥ずかしいながらに期待もしている私は、身だしなみをチェックしたり、心の準備をするのには必要な時間だった。


「この他にビーフシチューとガトーショコラもあるんです。食べます?」


「勿論、食べる。しかし、どんだけ作ったんだよ?」


「ビーフシチューの残りは明日の朝にパンと一緒に食べられるかなって。ガトーショコラは支配人が甘い物好きだから…。今、温めて来ますね!」


おつまみとして作った料理だったが、今日はワインのボトルも開けず、他のお酒も飲まずに食器を片付けた後はデザートタイムに移る。


支配人が自ら紅茶を入れてくれて、今日一番の自信作のガトーショコラを食べる。


夜中に甘い物は太るけれど、今日だけ特別。


「甘さ控えめで上手い。料理上手だから、良い奥さんになれるな」


「ふふっ、有難う御座います!」


支配人がガトーショコラを頬張りながら、幸せそうな微笑みを浮かべる。


長年の寮暮らしで、予定のない休みの日はほぼ自炊していたので、支配人と同じで料理は苦ではない。


褒められると照れくさいな。


「…なんなら、ココに住んでもいいぞ。食器も寝具も揃えたし、ないのはお前の生活用品ぐらいだな?それに…子供は双子が産まれるかもしれないぞ?」


「な、な、何でっ、付き合っていたかも曖昧だって話をさっきしたばかりなのに、そうなるんですかっ!?ふ、双子って…!?」


唐突過ぎる話は、結婚を通り越して子供の話にまでなっていた。


「いつも言ってるだろ?嫌なら断われ、と」


「…そうですけど。嫌じゃないですけど…でも…」