【短編】本日、総支配人に所有されました。

何て答えが帰って来るだろう?


聞きたいけれど、怖い。


出来上がった料理を運びながら、良からぬ考えばかりが頭に浮かぶ。


しばしの沈黙の後、「お前は、どんな関係だと思ってるんだ?」と逆に聞かれた。


「ズルいです。私が先に質問したのに…」


カチャリ、と支配人が座る横からテーブルにお皿を置いた時に呟いてしまって、キッチンに戻ろうとしたら腕を掴まれて捕獲された。


捕獲された後、支配人の脚の間にちょこんと座らされて、私のお腹を両腕でしっかりとガードしているので逃げられない。


「お前、本当に度胸あるよな…。俺に口答えはするし、本店行けって言えば本当に行くし…。

まぁ、そんなところが好きになったんだが…」


「………!?」


「俺は付き合ってるつもりだったけど…、お前はバトラー研修のつもりだったか?」


背後から聞こえる職場に居る時とは違う優しい声と首筋にかかる吐息に鼓動が反応して、速度が早まる。


「…わ、わ、…私は、好きって言われてないし、言ってもないし…曖昧な関係だな、…って思ってました。…っひぁっ…」


突然、チュッと首筋に唇が触れて、変な声を出してしまった。


「ふふっ、可愛い反応だな。前にも言っただろ?俺は口説かれた事はあっても口説いた事はないって。だから、口説いたのはお前が初めてなんだって」


「………?口説かれてたんですか、私?」


本気で口説れてるとも知らずに、キョトンとした顔で、下から顔を斜め横に上げて問う。


からかわれているだけで、口説かれてるとは思いもしなかった。


「お前、本気で言ってるのか?経験値ないにも程があるだろ!
俺が系列ホテルにいるお前を見つけて、指名したんだ。
お前のような純粋バカみたいな女、口説いた事なんかないから、とりあえず近付きたくて、何かやらかす度に呼び付けて…」