【短編】本日、総支配人に所有されました。

食事休憩が終わると星野さんの待つブッフェ会場へと足を運ぶ。


ワインレッドの絨毯にパステルピンクと白のストライプのクロスが良く映える。


丸テーブルの中央には、赤とピンクの薔薇を基本とした可愛らしい花達が飾ってある。


「かっわいい~」

「可愛いっ」


会場の扉を開けた時、あまりの可愛さに優月ちゃんと一緒に感激してしまって、二人ではしゃぐ。


私達に気付いた星野さんは笑いながら、「お疲れ様、宜しくね」と言った。


しまった、お疲れ様も言わずにはしゃいでしまったと二人で顔を見合わせて、「お疲れ様です。宜しくお願いします」と挨拶をした。


「ふふっ、可愛いでしょう。結婚式を出来ないままにデキ婚しちゃった夫婦の結婚記念日パーティーなんだって。そーゆーのも何かいいよね」


星野さんの話を聞いて、益々はしゃいでしまった私達。


ケーキカット用の大きな生ケーキも出すらしく、結婚式に近い催しもあり、テンションが上がる。


オープンが夕方六時からで、仕上がった料理を運んだり、テーブルに事前に置く飲み物を出したりしている内に配膳会の方々が来る時間になった。


配膳会の方々に挨拶をすると、こないだの大学生も居た。


オープン前のミーティングが終わり、待機時間に話をかけられる。


「お疲れ様、篠宮さん。雰囲気変わったね、ますます美人になった」


「ちょっとだけメイクを変えただけです」


私は親密度が増さないように避けるようにしているが、何故か後を着いてくる。


「昨日さ、篠宮さんが前に居たホテルのヘルプに行って来たんだけど…フロントの女の子と話す機会があって、篠宮さんが居なくて寂しいって嘆いていたよ」


「そうですか…」