カレンダーに記された日付はいつの間にか11月になっていたけど、でも、今年の寒さは異常だった。


テレビとか観ないからわかんないけど、温暖化ってヤツじゃないのかよ、なんて空を仰いで不貞腐れてみたり。


結局あれからアラタが電話してくることはなくて、どうしようもない自分を持て余すように過ごしていた。


もちろんあたしから電話したりもしたんだけど、でも、いつも電源は入っていないまま。


苛立ちばかりが募り、最近じゃシゲちゃんに当たり散らすようになったんだから、始末が悪い。



「…マイ?」


「何?」


「…いや、何でもないけど。」


まるであたしの顔色を伺うように話すシゲちゃんに相変わらず苛立って、セックスしてる時以外のあたしは、大抵怒っているんじゃなかろうか。


鳳凰が恋しくて、自分勝手なアラタにムカついて。


そんなことを繰り返しているあたしに、よくもまぁシゲちゃんは、それでも一緒に居てくれるもんだ。



「最近、ホントにどうしたの?」


「別に。
あたし生まれつきこんなんだし。
生まれたての第一声からキレてたらしいよ。」


「…そう、なんだ…」


そんなわけないだろ。


笑うわけでもなく、突っ込んでくれるわけでもないシゲちゃんは、言葉を飲み込むようにして肩を落とした。



「てか、本気でつまんない。」


「…じゃあ、どっか行く?」


「シゲちゃんのことが、って言ってんじゃん!」


「……マイ…」


声を荒げたあたしに彼は、そう名前を呟くだけで、すでに泣き出しそうな色を浮かべていた。


こんな顔をされると、情にも似た気持ちさえ芽生えてしまうのだから、タチが悪い。