毎日はつまらなくも単調で、どれが昨日でどれが一昨日の記憶なのかさえも、定かではなかった。


だって別に、どれがどれでも同じようなものなんだから。


彼氏ってヤツは一応いるけど、でも、当たり前に誘われればホテルに入るし、さっきまでクラブで遊んでて、そのまま街を徘徊するように、フラフラとこの場所までやってきた。


国道の上に掛かる、歩道橋。


ここから流れる光の筋を見つめていれば、一体どれくらいの時間が経過していたのだろう、体の芯が凍てついていることに気が付いた。


が、だからどうするってわけでもない。


だってこうでもしないと自分が生きてることを実感出来ないし、凍死してニュースになれば、結構あたしは有名になれるのだろうから。


本当に、退屈極まりない。








「オネーサン、何やってんの?」


刹那、ゆっくりと顔を向けてみれば、男がこちらを斜に捕えていた。


ナンパ男なのだろうかと無意識のうちに眉を寄せてしまえば、彼はそんなあたしに向け、不敵に唇の端を上げる。



「こんなとこから車見てどうすんの?
あ、もしかして自殺志願者?」


「……は?」


「良いね、面白そうじゃん。」


あたしの答えを聞くより前に、男はそう、クッと喉を鳴らした。


意味が分かんなくて一層眉間のシワが深くなるあたしに気付いているのかいないのか、彼は下を覗き込み、“怖っ!”と漏らす。



「あ、大丈夫だから気にすんなよ。
俺は止めないし見てるだけだから、心置きなく飛び降りちゃって?」


はいどうぞ、とでも言わんばかりに彼は、そうおどけたようにあたしに向けた。


一体、何だと言うのだろう、第一、別にあたしは飛び降りようと思ってここに居るわけじゃない。



「アンタ、頭おかしいんじゃない?」