「助けて、くれたよね……。

クラスの皆に訴えてくれて、先生にも伝えてくれて……。
もしかしたらそれが原因で、わたしの代わりにいじめられたかも知れないのに、必死で助けてくれたよね……」

うるうると潤んだ瞳で俺を見上げる壺山。

……!
思い出してるのか?
当時のことを……。

「壺山、もう終わったことだ。
俺もいじめられなかったし、壺山へのいじめも終わって、こうやって平和に過ごせてるんだから。
嫌なことは思い出さなくても良いんだぞ」

泣くなよ、と笑ってみせる。

「……ん……。泣かない……」

リビングで突っ立ったまま、俺と壺山は見つめ合っている。

「……美談ねぇ……。
まさか敏が岳くらいの小さい時に、そんな良いことしてたなんてね、母さん知らなかったわぁ」

「……もう、ますます邪魔なんかしちゃいけない気がして来た。
同盟が崩れた……」

「ラブラブだねぇ」