隣の席の不思議系彼女

「おいこら壺山、なんで普通に家人がいるのにチャイム鳴らすかな?

俺が玄関開けて、2人が入って来たら良いだけだろうが」

俺の言葉に壺山はキョトンとしている。

「だって家ではそうだから。
帰ったらチャイム押して名乗らないと、門が開かないから」

……。
昨日見上げた、巨大な屋敷前の黒い門を思い出した。

さっすがお嬢様、感覚が庶民とは違うな。

野崎はよくわからない、とでも言いたげに首を傾げている。

「わー!
敏兄ちゃんお帰り!

野崎の兄ちゃん、壺山の姉ちゃん!
いらっしゃい!!」

チャイムの音を聞きつけて走ってきた岳がドアを開けて、嬉しそうに笑った。
俺は玄関で岳の頭を撫でて、靴を脱いだ。