「可愛いな……」
「でしょう?!
可愛いのよ、さんちゃん!」

ぽそりと漏れた一言に、食い気味な返事が帰ってくた。
愛犬を褒められた壺山は心底嬉しそうだ。

ツインテールをゆらゆらさせながら満面の笑みを浮かべている。
本人は全く気づいてなさそうだけど、クラスの男子達がこの瞬間、何人かやられた。

無自覚美少女、半端ねぇな、おい。
ちなみにその男子達の中に、野崎が含まれている。

「あのね……。
ちょっと心に区切りがついたから。

安城にさんちゃんを見てもらおうかと。
忘れるわけじゃないよ? 今でも大切なんだから。

ただ、ずっと引きずって暗い顔してちゃいけないなって……。

ある程度区切りがついたら、安城に話して前を向こうって思ってて……。
それで……」